企業内外で起こる知的財産関係のトラブルを防ぐ

企業にとって、自社の保有する知的財産を保護することは不可欠です。
この部分がおざなりになれば、どんなに革新的な商品やサービスも価値を失ってしまうでしょう。

企業の知的財産についての関心は高まる一方です。
特に、インターネット普及以降は映像作品や音楽などが著作権者の許可なく配布、公開されるケースが多発しています。
こうしたことから、知的財産保護は世界的な課題ともいえるでしょう。
そのため、知的財産管理技能士という資格が注目されています。

知的財産管理技能士は、知的財産を正しく活用し、管理するための能力を持つ人物のことです。
そして、企業や団体の内部で知的財産にまつわる様々なトラブルを未然に防ぎます。
こうした問題はどの部署でも起こり得ます。
したがって、知的財産管理技能士の存在は企業にとって重要なのです。

知的財産に関する問題では、自社が加害者となることも多々あります。
例えば、知的財産に対する知識のない社員が他社や個人の有するコンテンツなどを無断で使用してしまうケースなどです。
最近では、こうした問題がメディアでも取り上げられるようになったとはいえ、社内での問題意識の共有が不十分な場合もあります。
知的財産管理技能士は他社や一般の消費者による侵害への対策を考えるだけでなく、こうした社員に知識を提供するという役目もあります。

資格を取るには

このように、知的財産管理技能士に対する関心は高まっています。
なかには、この資格を取ってみたいと考えている方もいるはずです。
企業にとっても、自社の社員がこの資格のを取得するのは大きなプラスとなりますので、高い評価を得ることができます。
また、転職を考えている方が取得すれば大きな強みにもなるでしょう。

知的財産管理技能士の資格を取得するためには、国家試験である知的財産管理技能検定を受験し、合格しなくてはなりません。
この知的財産管理技能検定には難易度の高いものから1級、2級、3級の3種類があります。
3級では知的財産管理における初歩的な知識ならびに技能が問われ、2級では中級程度の知識・技能が必要です。
1級は特許専門業務、コンテンツ専門業務、ブランド専門業務の3つの分野に分かれており、知的財産管理における上級の知識や技能が求められます。

3級の試験には厳格な受験資格はありませんが、2級や1級では知的財産管理に携わる職種の実務経験が必要です。
2級では2年、1級だと4年の実務経験が必要となりますが、それぞれ下の等級の資格を取得していれば受験資格は軽減されます。
例えば、3級を取得しているなら2級の受験に実務経験は必要ありませんし、2級を取得済みなら実務経験1年、3級取得済みなら2年の実務経験で1級に挑戦することが可能です。
なお、1級の試験は学科試験と実技試験の2つがあり、その両方の受験が必要です。