社員のメンタルヘルスケアは企業にとっても課題

企業が対処すべき問題として、退職者の増加があります。
退職理由は人によって様々ですが、なかには精神的な問題が原因である場合もあります。
職場の人間関係や過酷な労働などによってうつ病を発症し、退職せざるを得なくなるケースなどです。
こうした状況は企業にとってもマイナスであり、早急に手を打たなくてはなりません。

改善策として、人間関係や労働環境の改善はもちろんですが、社員の精神状態を悪化させないようにするということも重要です。
精神的に問題を抱えている社員だけでなく、他の社員がそのような状態にならないようにするということも必要でしょう。
しかし、精神科医や臨床心理士といった専門家との提携にはコストがかかります。
そこで、注目されてきているのがメンタルヘルス・マネジメント検定という資格です。

メンタルヘルス・マネジメント検定の特徴

メンタルヘルス・マネジメント検定は、社員のメンタル面での不調をラインや組織レベルで未然に防止あるいは早期に発見することを目的に、メンタルヘルスケアのための知識やその対処の方法などが問われる資格です。
ただ、こうした悩みは役職によっても異なります。
中間管理職には中間管理職ならではの悩みがありますし、このことは一般社員や管理職などにおいても同様です。
そのため、それぞれの悩みに応じた様々な知識を身に付ける必要があります。

メンタルヘルス・マネジメント検定は、Ⅰ種(マスターコース)、Ⅱ種(ラインケアコース)、Ⅲ種(セルフケアコース)に分かれており、それによって試験の内容や難易度、目的にも違いがあります。
まずⅢ種はセルフケアコースとも呼ばれ、自身のメンタル面における不調を早期に発見し、自らでケアできることを目的とするコースです。
よって、メンタルヘルスに関する基礎的な知識やその意義、ストレスへの対処方法などが出題されます。
合格率は約80%と高く、入門編として最適です。

Ⅱ種は、上司の視点から部下のメンタル面をケアできることを目的としています。
Ⅲ種との違いは、ケアの対象が自身ではなく他者である部下となったことに加え、上司としての立場から安全配慮義務に則った対応を求められるということです。
そこで、メンタルヘルスに関する基礎知識だけでなく、管理監督者としての役割や他者のメンタル面の配慮方法、相談を受けた際の助言方法なども出題されます。
Ⅲ種に比べると難易度が上昇し、合格率は約50%です。

Ⅰ種になると、自社のメンタルヘルスケアの計画や専門機関との連携、社員への教育・研修を企画、立案し、実施できることなどが目的になります。
出題される内容のレベルもさらに高くなり、自社全体のメンタルヘルスケアについての計画やその重要性などが問われます。
試験も選択問題と論述問題の2つがあり、合計150点のうち105点以上であることに加え、論述問題が25点以上でなくては合格できません。
合格率はおよそ20%と厳しく、取得には努力が必要です。

社員のメンタルヘルスの健全化およびその維持は企業にとって必要なことです。
言い換えれば、これが可能な人材は貴重であり、どの部署においても求められるでしょう。
したがって、興味のある方はこの資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。